3人のキリスト実験
実験の背景と目的
1959年、社会心理学者のミルトン・ロキーチ博士は、自分がキリストであると信じる統合失調症の患者3人を用いて、妄想の治療法を確立するための実験を行った。彼らを同じ病棟に入院させると、次第に誰が真のキリストであるかを巡って口論を始め、それが殴り合いにまで発展した。この実験は当時、非常に画期的なものであった。
実験の進行と結果
やがて彼らはより深い妄想の世界へと入り込んでいった。2人は、自らがキリストであることを疑わず、他の2人は気狂いだと信じ込んだ。1人は他の患者は実は死んでおり、機械に操られていると考えた。この実験は2年間続いたが、目立った成果は得られなかった。ロキーチ博士は20年後に「科学のためとはいえ、彼らの日常生活に介入する権利などなかった」と述懐している。